Motiyama
@10010KY
2025年5月14日

ヘヴン
川上未映子
読み終わった
得難い読書体験だった。
想起される情景と主人公の感情と、文字列を見るという具体的な視覚体験とが融合して「小説」としてあらわされている。
全ての小説はそういう表現媒体なのかもしれないけれどここまで明確に意識させられた事はなかったな。私が色々読んでないだけかもしれないけれど。
夫が借りてきたので何気なく読み始めたが、自宅のしまい損なっているコタツの一辺で、こんな日常をこじ開けられるような圧倒的な経験ができるなんて。
ラストシーンの世界の輝きは、読者の、日常をこじ開けた先にある世界、の体感と重なるようにも感じた。
後から調べたら、ブッカー賞の候補になっていたのか。そりゃそうだわ、と納得した後、著者が20代前半でこの小説を書き上げていたことを知り驚愕。著者の存在そのものがこの世界の輝きだわ、と思った次第。
他の著書も読みたい。

