
Wi-HEi
@Wi-HEi
2025年5月14日

ひとり日和
青山七恵
読み終わった
@ 自宅
70歳の吟子さん家に居候することになったハタチの知寿(ちえ)。彼女は心の何処かに不安を隠しながら生きている。続かない恋愛。母との関係性。そして、人生の終わり方…。
普通なら、人生経験のある吟子さんが良い言葉をくれるのだが、この小説は違う。吟子さんは、あまり彼女を気に掛けない。それどころか、今まで居候させた者や死んだ猫の名前も覚えていない。一見それは薄情のようにも思える。しかし、ラストシーンまで読み終えた時、そんな彼女の見え方はほんのり変わる。移り行く季節に沿って過ごすように、吟子さんはその時その時間を受け止めて生きている。その様に知寿も少しずつ見せられ、自立の道を進む。
全体的に登場人物の塩梅がいいなあと思った。キャラの+と−がしっかり色付けされていて、毎回ほんの少しだけ読者の期待を裏切ってくれる。素敵な小説でした。
