
ユメ
@yumeticmode
2025年5月16日

アンの幸福
ルーシー・モード・モンゴメリ,
村岡花子
読み終わった
感想
再読
サマーサイド高校に校長として赴任したアンは、離れてすごすギルバートへせっせと手紙を送る。アンの綴る文章は彼女らしい個性に満ちており、活き活きと読む者の心をとらえる。「全世界に在る アンの腹心の友人たちへ」という献辞に相応しい巻だ。
私はモンゴメリの書く家や屋敷が好きだが、この『アンの幸福』に登場する柳風荘も本当に魅力的だ。ケイトおばさん、チャティおばさん、レベッカ・デュー、そして猫のダスティ・ミラーの住まう柳風荘は、アンのことを愛し、アンに愛される。自分の家というものを持たなかったアンが、シリーズを通してグリン・ゲイブルスを筆頭に素敵な家々と心を通わせる様に胸が温まる。
小さなエリザベスや副校長のキャサリンとの交流にも気持ちが和み、三年の時を経てアンがサマーサイドを去るときには私もすっかり寂しくなっていた。レベッカ・デューの振る白い大きなタオルが、物語を優しく締めくくってくれる。

