
冷やしトマト
@tomato_hiehie
2025年5月23日

扇谷家の不思議な家じまい
実石沙枝子
読み終わった
桜の木の下に埋められた死体。超能力の血筋を持つ一族。彼らの人生を辿りながら, 物語は時間を遡る。しかし, 絶えず問われるのは《未来》についてだ。積み重なった《未来》が今であり, その揺れ動く運命を見続けた《おばあさま》がとうとう亡くなるのだ。


冷やしトマト
@tomato_hiehie
冒頭にあるのは家系図。読み進むにつれて, 一家の面々が個性的に思えていく。印象が強かったのが恵美子おばさん。ある意味では最も《今》を視るのに適している。そして, 伝統の転換期に立たされた苦労人でもある。読む人によって, 感想にバラつきがありそう。読書会向きにも思えた一冊だった。

冷やしトマト
@tomato_hiehie
『17歳のサリーダ』が過去との対峙であれば, 『扇谷家の不思議な家じまい』は《未来》との対峙だと思う。そして, いずれの物語も《今》に収束する。《過去》は償えない罪ではないし, 《未来》は変えられない運命ではない。わたしたちの《今》の積み重ねが人生になる。だから, 毎日を生きていくのだ。