犬山俊之 "できる大人の「要約力」 核心..." 2025年5月25日

できる大人の「要約力」 核心をつかむ
「要約のような楽しいことを、自分でやらないでAIに投げるなんて、もったいない」という意見をSNSで見かけて、「ホント、そう!」と大きくうなずいたのですが、移動中で慌てていて記録していなかったので、どのSNSで、どなたの投稿だったのかわからなくなってしまいました(小池先生ご本人だったかもと思ったのですが、見当たりません……)。 で、改めて本書を手に取ってみました。  * 「要約を作成するには、丁寧に文章を読む必要があります」とさらりと書かれていますが、この「丁寧な読み方」についてきちんと説明できる人はほとんどいないのではないでしょうか。 同書では、まず「丁寧に読む」ための方法が詳しく解説されています。「言い換え」「対比」「因果」「主張」「理由・根拠」など基本的なキーワードですが、適切な例を挙げての説明は本当に見事で、すばらしい読解の教科書となっています(自分は日本語学習者のための読解指導を長年やっていますが、その際にも役立つポイントが満載です。第二言語話者にとっての読解が「単語の意味を辞書で引いて終わり」なわけがないのですから)。 で、これらは読者に向けた解説であると同時に、著者による「読み」の実況中継ともなっているのです。優れた読み手の読む過程を覗き見させてもらえる貴重な機会。小池先生の著作全般に言えるのですが、「なるほど、こう読むのか!」という驚きが、勉強になるし、エンタメとしても非常に「おもしろい」のです。  * 丁寧な読みがあっての「要約」なのだから、生成AIに要約を出してもらって、それでヨシとはなりません。下手な比喩ですが、マラソンを単なる40キロの距離の移動と考える人はいないでしょう。その40キロを自分の体で感じてこそ……。  * それから、本書では要約の練習のために取り上げられている課題文の選択もよくて、どれもそれ自体で読み応えがある文章です。「情報へのアクセスは基本的人権である」という難民向けの支援についてのニュース、「どこかで読んだな」と思いながら、出典を忘れてしまっていたのですが、今回の再読でまた出会うことができて、よかったです▼ https://www.seishun.co.jp/book/23788/
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