
隙間
@ssskkm
2025年5月25日

春のこわいもの
川上未映子
読み終わった
@ 自宅
春の芽吹きや新たなスタート、出会いの予感といった季節の爽やかさを見事に逆行していく。
おぞましい何かが生まれ、蠢き、這い出でてくるような不穏さ、湧き上がる制御不能な暴力性、衝動、正当化する/されていく理不尽などをふんだんに詰め込んだ短編集。
春特有の陽気に当てられ脳内がくつくつと沸き上がり、その鬱屈とも言える熱に侵されて狂気に触れてしまう模様や、出会いと別れに思いを馳せ回想したり、都合よく美化したり、思い込んだりとそういった誰でも一つ/一度くらいは経験、持て余したことのある暗く湿った生々しい感情が、コロナ禍と掛け合わさることで閉塞感と陰鬱さを更に膨れ上がらせている。
そういった背景、描写がグロテスクなまでにリアリティで好みだった。




