春のこわいもの

109件の記録
- 隙間@sukima_2025年5月25日読み終わった@ 自宅春の芽吹きや新たなスタート、出会いの予感といった季節の爽やかさを見事に逆行していく。 おぞましい何かが生まれ、蠢き、這い出でてくるような不穏さ、湧き上がる制御不能な暴力性、衝動、正当化されていく理不尽などをふんだんに詰め込んだ短編集。 春特有の陽気に当てられ脳内がくつくつと沸き上がりその鬱屈とも言える熱に侵されて狂気に触れてしまう模様や、出会いと別れに思いを馳せ回想したり都合よく美化したり思い込んだりとそういった誰でも一つ/一度くらいは経験、持て余したことのある暗く湿った生々しい感情が、コロナ禍と掛け合わさることで窮屈さと陰鬱さを更に膨れ上がらせている。 そういった背景、描写がリアリティに溢れていて好みだった。
- sayaka@flow-er2025年5月21日読み終わった表紙の絵そのままのような本だった。 一見するとそれこそ春を思わせる柔らかな美しいピンクの布なのに、包まれた空間の中ではその皺のひとつひとつにまで様々な色や粘度のこわいものが詰まっているような。 そして、それが壁に立てかけてあるところも、読み終わって見るとこわくなる。 ひとりではどうにもしがたい社会の不安定さや、生きていくことのままならなさの中で、なんとか保てていた形も壁から離れてしまえば容易にぐにゃりと形を変えることができてしまう。 意識したとしてもなかなか覗き込めないところにある自分の中のこわいものを、川上さんの温度を持つ言葉とスピード感で見せてもらったような時間だった。
- N@r_is_for_read2025年5月18日読み終わった「笑顔でさえ、今から笑うと決心してから笑ってみせるような、そんなぎこちなさがあった。」という「ブルー・インク」の一文がなぜだかすごく気に入った。 通して一番好きだったのは「娘について」。
- ゆうき@yuuki822025年5月8日読み終わったあの春に、自分にとっての幸せも正義も全部が間違っていて、根本を否定されたみたいなきもちになったことを思い出した。 悪意や人のイヤな部分が浮き彫りになり、でも気付かないふりをしながら、自分で自分だけが信じられるものに、なんとか縋りついてた。 ほんとに、何か起きても、誰にも見つけてもらえなかった。 もしかしたら、今もまだ全部が消えないし、戻らないでいて、あのこわかったものばかりが残っている世界を生き続けていくのかもしれない。教えられたあの春をずっと背負って。
- はるのひ@harunohinouta2025年5月5日読み終わった最後の短編「娘について」読了。 6つの短編の中でいちばん気持ちが重くなる、こわい話だった。最後まで語られない部分が何層もあって、そこの怖さがずっとこびりついて残る感じ… 最後にもう一度「青かける青」を読み返したら最初に読んだ時とは違う感情になって後半で泣きそうになった。
- よしい@Yoshe2072025年5月4日読み終わった短編集なので1話1話は短い物語なんだけど、そのどれもに感情ぐらんぐらんにさせられた。ガツンとやられるというよりは気付かない間にじわじわ効いてくる遅効性の毒、かと思ってたらいきなり正面から思いっきりぶん殴られるような言葉が飛び出してきたりもして良い意味でしんどい。
- ᴇ ʀ ɪ 📚@eribe122502242025年5月3日読み終わったオーディブルコロナ禍の緊急事態宣言でおうちにこもって不安だったあの頃の春を思い出した。 全てが不穏でうすらこわい6遍の短編集。特に『娘について』が好きで、キリキリと心が少しずつ言葉で抉られる感じが痛くてたまらなかった。そしてあの捻れた友情わかるぅ〜。となった。ねこさん、ほんとは全て分かっていたのかな?
- はるのひ@harunohinouta2025年5月1日読んでる5つ目の短編「ブルー・インク」読了。 "一度書かれたものは、どうしたって残ってしまうから"(P108) それがとても怖いのだと語る彼女が書いた手紙に何が書かれていたのか、とても気になる。 "存在"を定義するのも怖いね…
- はるのひ@harunohinouta2025年4月30日読んでる4つ目の短編「淋しくなったら電話をかけて」読了。 他人への度を超えた一方的な心酔は本当に怖いなと思う。自分の中で理想像を作り上げて、何かの拍子にその相手が自分の理想から外れる言動をした時に好意が怒りや攻撃性に変わってしまうなら、それは自己愛でしかない。人間の身勝手な怖さ。 それにしてもたった5年前のコロナ禍をものすごく遠くに感じる。このマスクの描写が一体何を指してるのかよく分からない読者もそう遠くない未来に出てくるんだろうな。
- はるのひ@harunohinouta2025年4月29日読んでる3つ目の短編「花瓶」読了。 読みながらどうしても拭えない嫌悪感があるのは、きっと現実ではあまり知りたくない/見せられたくない他人の"本音"というか心の底が描かれているからだ。そしてきっと一部の読者がこうなるであろうことを十分に見越しての免罪符としての最初の一文がじわじわと効いてくる。 死についての淡々とした描写が秀逸。
- ほしの@urmybluemoon2025年4月29日読み終わったひとつひとつの言葉遣いはとてもすきなのに、まったく頭に入ってこなくて、文字がただ紙の上に並んでいるだけに感じてつらかった わからなくて、くるしかったです。理解したくて、すきだと思いたくて読み進める申し訳なさ こころがずうんと重い。
- はるのひ@harunohinouta2025年4月28日読んでる2つ目の短編「あなたの鼻がもう少し高ければ」読了。 自分からは(鏡をのぞかないかぎり)見えない自分の顔。中学生の頃は自分の顔が嫌いだったけど、たぶん鏡を見すぎていたんだと思う。顔だけじゃなく思春期特有の自己嫌悪や苦しさって自分のことを変に考えすぎていたせいだと大人になってから分かる… "っていうか顔って、なんなの?"(P64) シンプルだけど前後の流れから少しぞわっとして考えさせられる一文。面白かった。
- よむよむ@md_152025年4月27日読み終わったコロナ禍に書かれた短編集 「娘について」が一番印象に残った。 帯に書かれてた「私、忘れたことないからね」。 言った側、言われた側の気持ちは同じじゃない と思うけどなんかゾッとした。 でも主人公の気持ち、わかるな、、という共感もあり、不思議。 「あなたの鼻がもう少し高ければ」もよかった。 現実を突きつけられて、傷付くけど、 うん、こういう思いすることあるよねって感じ
- はるのひ@harunohinouta2025年4月26日読み始めた読んでるまず最初の短編「青かける青」を読了。 時間の軸がどこにあるのか分からない感じにぞわぞわしつつ、1つ1つよく考えるとどこまでも怖い気がして、脳が深く考えることを拒否したまま読み終えてしまった…。 読み終えてからこのタイトルの意味を考えてみたけど、まだよく分からないまま。 "現実"の世界では確かなものであるはずの時間の流れが不確実なものに感じられる怖さ。自分の足元までぐらりと揺らぎそうになる。
- はるのひ@harunohinouta2025年4月24日読みたい買った文庫化を知ってから読みたいなと思ってて、そして何となく久しぶりにネットじゃなくて本屋さんをぶらぶらして買いたくて、昨日ようやく購入。4月中に読みたい1冊。
- おとわ@mofbook2025年4月18日読み終わった@ 自宅心がざわざわした…客観視して読んでいるだけだと他人事で嫌な感じに思っても、よく考えたら人間ってそういう部分持ってるよな…って気づく。しっかり醜い部分を抉り取って見せられた気分。
- 帳@tobari20032025年4月10日読み終わった帯文「六人の男女が体験する甘美きわまる地獄めぐり」 まさにその通り。特に最後の【娘について】は凄かった。総毛立った。アルコールが入ってなかったら読み切れなかったかもしらん。
- 帳@tobari20032025年4月6日買った読み始めた歯医者の診察が2分で終わった。意想外に時間が空いたのでお酒を飲もうと思って、その前に肴にする本を有隣堂で探す。川上未映子の文庫本が平積みされているのが目に留まり即購入。 p.17 ねえ、戻れない場所がいっせいに咲くときが、世界にはあるね。 読点の使いかたが、美しいなと思った。
- oto@sakana__books2025年4月2日読み終わった春にちなんで🌸 少なからず自分の中にもあるような、または自分も経験したことがあるような、人の嫌なところを覗いているような感覚だった。 どれも印象的だったけど、特に「娘のこと」はいろんなことを考えながら読んだ作品だった。主人公にも杏奈にも、同情したり嫌悪感を感じたり、読むたびに感じ方が変わった。 主人公の混沌とした思考を感じさせる、迫力ある筆致に引き込まれ、夢中で読んでしまった。