NorioTonosaki
@tonosaki_norio
2025年5月29日

コンピューター誕生の歴史に隠れた6人の女性プログラマー
キャシー・クレイマン,
羽田昭裕
読み終わった
世界初の実用型コンピュータとされる ENIAC。IT の歴史に革命的な影響を与えたとされているが、1940年代の発表時の広報写真に、巨大なコンピュータを操作する複数の女性が写っている。筆者はこの女性達に興味を持つが、ENIAC創設者の研究者や関係者の中に女性の名前が無く、当時の発表の舞台だったペンシルバニア大に問い合わせても知らないと言う。
「たぶん広報の写真として雇われたモデルではないか」と言われる中、筆者はこの写真に写った女性達のとても自信に満ちた姿を見て、単なるモデルではなくENIAC創設に深く関わっていた技術者に違いないという確信を持つ。そこから気の遠くなるような調査が始まるが、結果、実は彼女らは世界初のコンピュータプログラマであり、とてつもない技術力を持っていた集団であった、ということを突き止める。というストーリー。 総勢6人の彼女らは ENIAC 6と言われる。
世界初のコンピュータには、当然今でいうOS などもなくハードウェアの解説書しかない。それらを元に一から弾道計算のプログラムを作成し、デバッグも行うのみならず、ハードウェアの処理時間を緻密に制御した高度な並列処理までを実現している。後にも先にも世界でこの処理ができたのは このENIAC6のみとのこと。
この本はその6人の女性達の生涯を軸に、いかにして彼女らがコンピュータ技師として偉大な功績を残したのかが熱く語られており、かなりボリュームがある本だが全く飽きることがない。彼女らの存在は今でも少数派とされる女性の IT 技術者に多大なる勇気を与えたとされる。ぜひ多くの方に読んで頂きたい本。
