
たかとし
@yume_hon_no_mushi
2025年6月2日

わたしは食べるのが下手
天川栄人
読み終わった
読了。知らないことばかりで勉強になるお話だった。
会食恐怖症や摂食障害、宗教上の理由や貧困など、食に関して様々な事情を抱える中学生たちが、給食のあり方について考えていく話。会食恐怖症の葵と、摂食障害(過食)の咲子の2人の視点を切り替えながら物語は進む。
中学校の課題図書として扱われており、内容は中学生向けなので簡単に読めた。しかし、内容は重く、それぞれの当事者の気持ちや背景があり、非常に勉強になった。
この本を読む前に、高瀬隼子『おいしいごはんが食べられますように』を読んでいたので「みんながみんな、食事を楽しんでるなんて考えるべきではないよね」みたいな価値観が被った。
会食恐怖症の葵が、咲子に出会い、「私だけが辛いわけじゃないんだ」と考えを改めるシーンが好き。「誰も私のことをわかってくれない、私は可哀想」とメソメソする葵に咲子がイライラする場面とか。
ムスリムの女の子が豚肉を食べないということについて、「食べられない、って言い方やめて。『食べられない』のではなくて『食べたくない』の。あなただって、犬の肉食べろって言われたら食べられないよね?」って諭すシーンもストンと腑に落ちた。豚肉を『食べる』側の私たちは「豚肉が食べられないなんて…」とか思ってしまうけれど、私たちだって犬や猫の肉を食べたりしないし、どんなに美味しく味付けされたとしても食べたくはない。それと同じ。
当事者はもちろん、健康的に「食事ができる」中学生も読んでほしいし、学校の先生にも読んでもらって「給食は好き嫌いせず残さず食べるべき!」がいかにナンセンスかを知ってもらいたい。