篠原陽太 "プレーンソング" 2025年6月5日

プレーンソング
猫が一匹いなくなっただけで世界から大事なものがひとつ抜け落ちたように感じる。「ぼく」と周りの人たちの日々が延々と続く。洗濯物が溜まってコインランドリーにカゴを抱えて歩いているときや昔なった喘息が出て川縁をてきとうに散歩しているとき、プレーンソングのゆるやかな日々を思い出す。プレーンソングはラテン語で平坦な歌を意味するらしい。しかしこの小説にある平坦さは過激だ。ひとが軌道から外れて新たな弧を描くというただそれだけのことが。
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