ほのめ "ピエタとトランジ" 2025年6月8日

ほのめ
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@udonco
2025年6月8日
ピエタとトランジ
間に他の本を挟んだりしつつ読了。 周囲の人が次々に死ぬ——ある意味探偵に最も必要かもしれない才能を持つ、頭脳明晰なトランジ。 そんなトランジの才能に惚れ込んで助手として人生を捧げちゃう、ぶっ飛んだ価値観を持つギャルのピエタ。 この二人の女の出会いから老後までをオムニバス形式で描いた本。 好みの装丁だったので何となく買った本だったけど、思いがけず好みど真ん中の味が来てびっくり。 あらすじを読んだ時はミステリかと思ったんだけど、完全に女ふたりの人生と関係に焦点を当てたバディものだった。 私は特別な才能を持つ女とそれに惹かれる女の話が好きなので、嬉しく読みました。 この二人の関係、友情とも恋ともわりと違う質感なんだけど、腐れ縁と表現するにはもうちょっとカラッと乾いていて、それでいてやけに運命的なんだよな……。名前のつかない関係って良いよね……。 なんか信じられない勢いで人が死んでいく話で、特に終盤はえらいことになるんだけど、その割に読後感は良い。 多分ピエタとトランジが最後まで自分の人生を満喫して生ききる様子が爽快に感じられたからだと思う。 まあ見ようによっては二人は取り返しのつかない罪を犯してるんだけど、それでも「二人なら(※ここが重要)」罪悪感も無視して突っ走れるっていう生き様は、個人的には見てて気持ちが良かった。 ピエタとトランジは別々に過ごしてたらきっといつかどこかで人生が破綻してたんじゃないかなあ。 例えばピエタの結婚生活のエピソードとか、トランジからたまに垣間見える良心の呵責とかを見てると、この子達は一人では耐えられなかったんじゃないかと思う。 二人一緒だからあのラストに辿り着けた、二人一緒じゃなきゃ駄目だったんだ。 読んでいて自然とそう思わせてくれる、良きシスターフッド小説でした。
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