
まいよみ
@maimaiyomiyomi
2025年6月10日

いい子のあくび
高瀬隼子
読み終わった
電車を降りると、突然肩に鈍い衝撃が走る。一瞬のことで、咄嗟に「すみません」と謝る。黒い服の男が追い越していくのを目の端で捉え、人とぶつかったのだと理解する。どんどん離れていく彼を目で追うと、人混みの中だというのに、人を避ける気配がないことに気づく。改札に続くエスカレーターに向かって、我が物顔で直進していく。そして、人がぶつかる。なぜか、女性だけが彼にぶつかる、いや、ぶつかられている。
こんな経験をした直後にこの本を読んだので非常にタイムリーだった。「ぶつかり男」がミームとしてこれだけ浸透しても、ぶつかり男の存在は無くならない。咄嗟に謝ってしまった自分に対して、じわじわと悔しさが後を引く。日常の些細な、でも消えないで残り続ける傷ついた気持ち。割に合わない、きちんと声をあげて、なかったことにはしたくないね。
残りの2作も、20代後半〜30代の、社会人の、2025年に生きる女性の気持ちをリアルに捉えてくれている。


