いい子のあくび

82件の記録
- I’m…@um___1242025年8月7日読み終わった自分が言語ができずに漠然と感じていたモヤモヤがそこにあった。 世界はおかしいと思う一方で、同様に自身の中にも「おかしさ」が沁みこんでいることに気づくところがリアルだった。 「割に合わない」ことだらけで、それをあたりまえとして処理できない人はどうやって生きていったらいいんだろう。
- はぐらうり@hagurauri-books2025年7月31日読み終わった芥川賞受賞後第1作。第74回芸術選奨・文部科学大臣新人賞文学部門受賞とのこと。 こういうナイーブな感情は女流作家に得意な人がいるが、男性にあまりいない。そういう意味では小池水音さん、大前粟生さんあたりに第一人者になっていただきたい。男性もあるんだよ、とわかってほしい。 表題作の中編と、2つの短編。「末永い幸せ」がぐっときた。人の結婚式で感じたことはなかったけれど、しきたり的に行われるセレモニーに違和感はあって、自分のときはすべて辞めさせてもらった。ファーストバイトとか、親への手紙とか。同じ感覚の妻であって良かった。 感じ方は人それぞれ。批判とか、排除とかではなく、理解し、対話すること。なんでそれができない。選挙のあとはいつもつらい。
- ゆい奈@tu1_book2025年7月29日読み終わった生きていると割に合わないことのほうが多い。例えば初対面のひとに「人見知りです」と切り出された場合、私は自然な流れで話を振っていく側になることを強いられる。そのたびに、ずるい、と思う。たったそれだけで、と思う人もいるかもしれない。だけど割に合わないとおもってしまうのだから、それはもうそうでしかなく、それで私も、この主人公のようにノートに書いている。絶対に口にはだなさい。態度にもださない。消費してたまるかとおもう。だすことによって、なかったことになんてしてやらない。誰にもいわずに呪いとなって、その人が不幸になりますようにと、息をするように願う。これも、わたしの一部。 p38「忘れない、と思う。わたしは絶対に忘れない。それがあったことも、その時に発生した怒りも不快も、時間が経ったからって許さない。」 p110「電柱の下、植込みの間に嘔吐の跡がある。投げ捨てられてひしゃげたビール缶が転がっている。泥水を吸ってコンクリートにはりついているハンカチは誰にも拾われない。こんなところで、丁寧なことばだけで、どうやって生きていけというの。」 (図書館本なので引用メモをたくさんしておく) p21「あ、消費されてる、って思う。わたしだけのものだったはずの、わたしのストレスや苦労や不満が、教育のために消費されていく。」 p39「ごめんにはごめん以外ぶつけていいものがないから仕方ない。申し訳なさそうな目と眉と、口元だけは微笑ませた顔を作って見せ、数秒間無意味に頷き、その頭の上下運動で誤魔化しながらパソコンに視線を戻していく。」 p56「いつもいつも同じことができるわけじゃない。いつも同じルールで、同じ物差しを持って世界と対峙できる人になりたいけどなれない。」 p59「心は、どうしてこんなにばらばらなんだろう。ばらばらで、全部が全部本当であるために、引き裂かれるというよりは、元々ばらばらだったものを集めてきて、心のかたちに並べたみたいだった。」 p73「にぶさと優しさはすこしだけ似ている。ばかが卑怯になれなのと同じ感度で。」 p115「自分が傷つけられたぶん、囚われたぶん、取られたぶん、削られたぶん、薄められたぶん。同じだけ他人にも、と思う。だっておかしい。割に合わない。」 p116「前を向いてまっすぐ歩く人だけが、よけていくべきなんだろうか。見えている人が、分かっている人が、できる人が、そうしなきゃいけないんだろうか。」 高瀬さんコンプリート
- emu@emu___0h1s2025年7月28日読み終わった生きる事、誰か関わることは、傷つけられる事と等しい。わかっているけど、こんな思いをするのも自分だけなんて理不尽だと思ってしまうのも臆病と優しさとずるさの紙一重。色んな色が混ざり合って感情もその時その場で塗り替えてしまう。私には人ごとに思えなくてずっと心の中で泣いてた。
- アンダンテ@aaaiuc2025年7月6日まだ読んでる男性に思いっきりぶつかられた時の鈍い痛み、満員電車の人から発される熱い息と熱によるぬるい温度、知らない人の肌が擦れる。 満員電車、とっても苦手です。笑 友人や家族、恋人、同僚によって見せる顔が違うところ私にもあるよなー… 偽善者ぶりたいだけなところ、私にもあるよなー… と、なんだか自分のことを書かれてるみたいな気がして、ずっとドキドキしていました。笑 1章といっていいのかな?いい子のあくび読了。 「お供え」を読み始めたところです。
- まいよみ@maimaiyomiyomi2025年6月10日読み終わった電車を降りると、突然肩に鈍い衝撃が走る。一瞬のことで、咄嗟に「すみません」と謝る。黒い服の男が追い越していくのを目の端で捉え、人とぶつかったのだと理解する。どんどん離れていく彼を目で追うと、人混みの中だというのに、人を避ける気配がないことに気づく。改札に続くエスカレーターに向かって、我が物顔で直進していく。そして、人がぶつかる。なぜか、女性だけが彼にぶつかる、いや、ぶつかられている。 こんな経験をした直後にこの本を読んだので非常にタイムリーだった。「ぶつかり男」がミームとしてこれだけ浸透しても、ぶつかり男の存在は無くならない。咄嗟に謝ってしまった自分に対して、じわじわと悔しさが後を引く。日常の些細な、でも消えないで残り続ける傷ついた気持ち。割に合わない、きちんと声をあげて、なかったことにはしたくないね。 残りの2作も、20代後半〜30代の、社会人の、2025年に生きる女性の気持ちをリアルに捉えてくれている。
- ゆ@yumchy2025年6月8日読み終わった驚いた。わたしは結婚式のヴァージンロードが気持ち悪くて、お祝いしたい気持ちは華やかにあるのに、全くあの儀式が祝えなくて、そんな自分のひねくれを文章として存在していて助かった
- yt@yt2025年4月30日読み終わった無自覚にまっすぐ歩ける人。 他人から強制的に曲がって歩かされる人。 いい子がどれだけ苦労を強いられていることか。 まだ読み終わりたくない。 「東京では、駅に近づけば近づくほど人が人に憎しみを持ち、怪我をさせても不快にさせてもいい、むしろそうしたい、と思うようになる不思議がある。」(p14) あと500ページくらいは読みたい。 (表題作:いい子のあくび) 入れ替わり、繰り返される職場の人間関係。 ずっと書き続けてほしい。 (お供え) 結婚と結婚式の気持ち悪さ。 その表明すら阻む圧力。 偽チャペルと、しらないひとみたいな新婦。 (末永い幸せ)
- 蛸足配線@nekoai302025年4月13日読み終わった裏と表、という単純なものではなくて。悪く言う方が裏で、裏が本当というのは違うだろう、という確信。(P59) 善い人格と悪い人格、どちらも作り物ではなく本当だという感覚には覚えがある。両方とも本当の自分自身だからこそ、それぞれに発揮する場が必要だと思う。
- インテルメッツォとカプリチオ@kaoriiiyama12032025年3月8日善良な顔して心の中で「クソが」と毒ついてる人は全員読みましょう。笑 高瀬隼子は「社会」(の人間模様)を知ってる感じが良いですね。新作が出るとワクワクしながら買いに行く作家さんです。みんな「黒い面」あるよねー。 (最後の方の暴言にめちゃくちゃ笑いました😎)
- 夏しい子@natusiiko2025年3月7日かつて読んだ私は主人公が好きだ。 私自身は良い子も悪い子も全開で、どこでも素で、なので「割に合わない」と思ったらそう、誰かに愚痴ってしまう。 それをしないで完璧装える彼女を私は応援したくなる。 だからこそ、終わりは私にはとっては周りにムカついたものだった。きっと大地は浮気を棚に上げて、彼女のせいで自分がこんな目にあったと言うのだろう。そんな人だと思わなかったとか被害者ヅラして。そういう事が彼女のように想像出来る。
- asu@mamanaranai2025年3月7日読み終わったこの本を読んだ方々がそれぞれどんな気持ちになるのか、聞いてみたいなあと思います。 わたしは主人公のような言動はとれないけれど、共感する部分がたくさんありました。
- 彩@Alice2025年1月25日かつて読んだ私はながらスマホ見ながら前から歩いてくる人がいたら何も思わず避けるけど、確かに「割に合わないなあ」とは思うな。夜道に1人で出歩けないのも、お客さんにびっくりするような態度とられた時も私が若い女なのが要因では?と思う時もあったし。 会う人みんなに違う着ぐるみを被って本当の顔は原型を留めていないの、私は共感できないけどここまでとは言わずともこれに近い感覚の人はいるんだろうなあ。 周りから見たいい子ちゃんをあえて過剰に振舞っていいことをしたくなるのも、反面残酷なことを考えるのもどちらも自分。わからんでもない。 ヨシオカくんが直子のアカウントをブロックするの解像度高いな。知らん人に突然何個もいいねされて空リプされると一気に自分を見られてる感を実感してブロックしたくなるよね あ、消費されてる、って思う。わたしだけのものだったはずの、わたしのストレスや苦労や不満が、教育のために消費されていく。大地が真剣に話を聞いてくれようとすればするほど、つけっぱなしにしているテレビみたいに聞いてくれるだけでいいのにと思う。P22 ぽろりとこぼれた悪口や汚いことばへの反応を見て、こっちがいいかな、この言い方がいいかな、と模索していくうちにどんどん過剰になっていった。P.55 今日あったことを酒の肴にしないで、ただ話すということができるのだろうか。演出の悪さ抜きで、演出のいい子も抜きで、時々いいことをしたくなるのも、悪くないことをしたくなるのも、それが日々変わっていくことも、私は誰とも共有しないと決めつけている、けれど。P122
- 大皿@zarabon2024年11月20日読み終わった『おいしいごはんが〜』がドンピシャだったのでこっちも読んだ。ドンピシャでした。でもドンピシャな自分がちょっと嫌いになるね^_^ かわいい表紙とかわいいタイトルなのがまたニクい。
- ( ˘ω˘ )@nnn2024年2月4日つくづく共感しかなくて怖い。「ぶつかったる」と思う私のような性格の悪い女はそうそういないのかと思ってた良かった(良くはない) 高瀬さんが描く嫌悪・怒り・諦観といった感情は自分が持つそれと近すぎてヒリヒリしちゃう
- 村崎@mrskntk2023年7月22日歩きスマホをしている人はぶつかる相手を選んでいる。一瞬だけ顔を上げて、ぶつかってもいいと思う相手ならそのまま歩く。そんな人たちをよけて「あげる」直子。割に合わない。だから「よけない」ことにした直子だけど、よけないことで起こるさまざまな悪意、現象があまりに理不尽すぎて、ぞわっとしました。 普段口には出さないこと、あえて言語化してこなかったこと、でも確実に自分のなかに積もっていた違和感や不満を高瀬隼子さんはおそろしく見事に描いています。 割に合わないことが本当に多すぎる。スペースの狭い「くだり」の階段をわざわざのぼってくる人を正しくくだっている私がよける。満員電車の出入り口に立って頑なに動かない人のために乗降が滞る。いったんホームに出たら並んでいる人がドアのぎりぎりに立っているから最後尾になりナチュラルに抜かされる。頑なにホームに降りなかった人が悠々と開いた席に座ってる。スマホをみながらのろのろ歩いている人の足を踏んでしまって舌打ちをされる。そういうやつら全員にぶつかってやりたいし、前見て歩けと怒鳴りたいし道をあけろと説教したい。 でもそれができずにあくびをかみ殺しているので、スマホ歩きをしている人は全員この作品を読んでください。