
なこ
@nonbibiri75
2025年6月14日

水を縫う
寺地はるな
読み終わった
借りてきた
感想
女子力…「調理や裁縫に長けているということは性別を問わず、生活力、と呼ぶべきではないだろうか」
これ、令和の某男子高校生のジェンダー観👏
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舞台は大阪。
本当にどこかに居そうな普通の家族に、娘が結婚して家を出ていくという大転機が訪れる話。また、弟が姉のためにウェディングドレスを作ることになる話。これが軸です。
章ごとに語り手が変わり、軸は貫いていながらも個々人が心の引っ掛かり(足枷)を見つめ、気持ちの殻を破り一歩踏み出す短編集でもありました。
ド派手な〝何か〟は起こりません。どの人もテンプレのような〝主人公臭〟はしません。淡々と、こういうこと起こりそうっていうごくありふれた日常。だけど時々はっとさせられるの。普通って何だろうな。
大多数だったり模範的だったりが普通なの? その枠からはみ出したら普通じゃないの? 離婚してる、カワイイにトラウマがある、裁縫に興味津々の男子高校生、若い頃諦めたものに未練のある祖母…ちょっと個性があっても普通の人でしょ。で、誰しもが何かしらそういうのあるでしょ。
ぽろっと語られるジェンダー観や殻を破るための気づきは、いい年の大人であるわたしにも響きましたし思春期ティーンには数倍数十倍拡幅して響くんじゃないかな。YAの棚にあった本なんですが、中高生でこの本を読むのってすごく羨ましいなと思いました。
ウェディングドレスが形になっていくところは圧巻です。映像で見たいな。エンタメ色強すぎる作りは向いてないので、映画かNHKドラマを希望します笑。
読み終わって、本を閉じて、表紙を見て。タイトルにものすごく納得しました。
家族への推薦度★★★★☆
