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2025年6月14日

〈選択〉の神話――自由の国アメリカの不自由
ケント・グリーンフィールド,
高橋洋
読み終わった
選択には社会的・経済的・心理的な制限が存在し、純粋で自由な選択がありえないことの解説。さらにそこからリバタリアン的な自由市場信仰や無規制無干渉信仰への批判が展開される。前者の方は行動経済学や心理学の書籍やウェブサイトでたくさん解説がある時代なのでそこまでの新しい知識は得られなかったが、白眉なのは第七章の自己責任に関する議論。よくあるナイーブで感傷的な「自己責任」批判から、一歩進んだ分析が読めた。
著者は自己責任を選択的自己責任と分別的自己責任に分け、前者は自分で決断しろと繰り返すだけで「決めるにあたって何の助けにもなりはしない」と指摘する。ノーヘルでバイク事故を起こして重傷を負った人がいても、「自己責任だから」と救急車を呼ばない・治療を受けさせないなんてことは結局できないのだから、本人が選択の結果を最も受け止めるにしても社会や他者もそれなりのコストや労力を払わざるえないのだから、選択にある程度の社会的な規制や干渉(この場合で言えばヘルメット着用法律義務化とか)は必要でしょという理屈はとてもアクチュアルで鋭い。
