
福藻
@fuku-fuku
2024年5月13日

たとえる技術
せきしろ
かつて読んだ
ひとことでは言い表せない感情を
ことばにしたいと思ったとき、
ぴんとくることばが
どうしても思いつかずに
やきもきすることがかなりある。
どれだけ考えたって、だめで、
結局しっくりこないまま、
「楽しい」だとか「悲しい」だとかの
ひとことに逃げてしまうことの多さ。
本当はもっといろいろな感情の
入り乱れた気持ちでいるのに、
ひとことで済ませてしまうと
急に陳腐になるのがさみしい。
すべてをことばにしたい、
とは思わない。
できるとも思わない。
ことばにせず、
しまっておきたい気持ちも
たくさんある。
ただ、
この気持ちは書き留めておきたい
と思ったときには、
できるだけぴんとくるかたちで
ことばにしたい。
なんとも言い表せない気持ちは
「たとえ」を使ってみるとよい。
ということを、
私はどこかで聞きかじった。
「◯◯のような」 「◯◯みたいな」
というやつである。
そうか!と思った。
それじゃあやってみよう!
と言って、
思いつくものではなかった。
私は頭がかたい。
そんなときに勤め先の図書館で
この本を偶然見つけてすぐさま借りた。
図書館はこれができるのがいい。
配架や書棚整理で、
思いがけない本と目が合う。
さて、この本
「技術」だなんて言っているが
せきしろさんの本だから、
実用書というより
文芸書としての味わいがありすぎる。
真面目な顔して終始ふざけている
とも言えるし、
ふざけているようで根は真面目
とも言える。
私はこの姿勢のひとによわい。
せきしろさんの実例たっぷりの本書。
笑いながら、でも真面目に頷きもしながら、
あっという間に読んでしまった。
ちょっと頭、やわらかくなったと思う。
〈好きな「たとえ」実例3選〉
「違う」
若貴兄弟それぞれの人生のように違う
「運命的」
「キミも能力者なんだろ」と言われたように運命的
「絶望」
楽しみにしていたネプリーグが録画されていないような絶望



