ayame
@tsukinofune
2025年6月18日

誇りと偏見
ジェーン・オースティン
読み終わった
・個人的によいな〜と感じた文章
「自分の洞察力を誇っていたこの私が! ──能力があると自負していたこの私が! 心が広く公平無私な姉を見下し、姉に無益で非難されるべき不信を向けて私自身の虚栄心を満たそうとしていた。──そう発見するとは、何と屈辱的なことか! ──それでいて、その屈辱は何と正当であることか! もし私が恋をしていたとしても、これほど盲目になれた筈がない。でも恋ではなく、虚栄が私の愚行をもたらしたのだ。(中略)この瞬間まで、私は自分自身を知らなかった」
映画は尺があるからいろいろ省かれるのは仕方ないとして(それでも2005年のキーラ・ナイトレイ主演「プライドと偏見」は観るに値する映画だと思う)、単に恋愛小説と読むには表題の"pride"の扱いがさまざまで面白くて、その味わいは小説でしか味わえないものだなーと思った。
内容としては古くさくないし現代にも通じる面白さがある。
特にエリザベスとダーシーが互いを通して自分のなかの高慢を見つけて葛藤し、それに苦心しながら克服しようとして互いを1人の人間として見つめる過程が彼らの恋愛の過程として描かれているのが好き。これを19世紀にして描けたオースティンが凄い。
電子版ゆえの弊害なのかなにか分からないけど、不自然な改行や空白があったり校正ルールが一貫していないのが少し気になった。
翻訳に関してはおそらく原文に忠実に訳しているので文章はやや複雑化しているけど、意味が汲み取れないほどではないし当時の文化を知るための註は適度にあって理解しやすい。
ただある程度の意訳で読みやすさを優先したいなら別の翻訳版でもいいかなという気はする。