mikechatoran "汽車を見送る男 (1954年..." 2025年6月26日

汽車を見送る男 (1954年)
シムノン <ロマン・デュール> 8冊目。冒頭夕食後の風景が描かれ、主人公のポピンガは責任のある職につき、よい家に住み、家族にも恵まれて幸福な生活を送っていることが伺われる。しかし、虫の知らせか、ある業務について様子をみてこようと思い立つ。するとそれがうまく行っていないどころか、途中会社の上司に出会い、そこで会社が破産することを告げられる。しかし、ポピンガは落胆するどころか、自らの解放のチャンスと見なして、夜汽車で逐電するのである。ここから急転直下、ポピンガの逃亡生活が始まる。犯罪小説なのだが、描かれるのはもっぱらポピンガの行動と内面のみ。しかも彼に思い浮かぶのは自分が誤解されているということばかりで、そのために新聞社に手紙を書いたりもする。自意識過剰の連続殺人犯のようだ。いよいよ追い詰められて….という出来事のあと、ある意味意外なラストが訪れる。すばらしい読み応えだった。読み終わると『汽車を見送る男』というタイトルが深い。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved