
堺屋皆人
@minahiton
2025年6月26日

秋期限定栗きんとん事件 上
米澤穂信
読み終わった
audible
2025年
ミステリ
シリーズ初の上下巻の分冊。下を入手してから読むのを推奨。
互恵関係を解消した夏の事件以来、学校でも疎遠になった二人の、それぞれの恋と青春を描くシリーズ三作目。
両者ともそれぞれに恋人ができ、その進展が描かれる。
二人が別々に学生生活を過ごすので、従来の小鳩くんの視点に加え、新たに小佐内さんの恋人である瓜野くんの視点が追加され、彼の目から見た小佐内さんが描かれる。
新聞部である瓜野くんを応援する小佐内さんと、放火事件を追って張り切る瓜野くんの交際は、小佐内さんの手のひら転がし感が可愛く微笑ましくもあるが、あくまで小佐内さんの内面はミステリアスなままなので、絶対何かあるぞ…という期待が読者の中で高まる。
一方、クラスメイトの仲丸さんと交際し普通を手に入れた小鳩くんも、幸せなはずなのに何か足りない感じで描かれ、二人の関係がどうなるのか目が離せない。
この作品は上下巻通して、二年生の秋から三年生の秋という長い期間のお話。
その間、新聞部の追う放火事件が次第にエスカレートしていく。
小鳩くんの友人で新聞部部長である堂島くんの協力のもと小鳩くんも事件を追うことになり、やがて事件をきっかけに別れた道が元の一本道に戻るように繋がっていく……。
事件の犯人も気になるが、それ以上に登場人物達の関係性がどうなるのかが気になり、ページを捲らせる手を早める……が、下巻に続くのである。

