にどね
@munyamunya_mogmog
2025年7月6日

買った
読み終わった
わたしは、わたしみたいなあなたと話がしたかった。
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多聞さんのおかしなともだち
トイ・ヨウ
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クィアな家庭で育った内日さんと、自分の名前を忘れてしまった「多聞の友達」の
わたしたちの名前を取り戻す、夏の思い出の話。
名前をつけることは、形がないもやもやした霞のようなものを定義づけることでもある。
主人公の内日さんはレズビアンカップルに育てられた、アロマンティック。
クィアな家庭で育てられた自分がクィアであることに罪悪感を持っている。
そんな内日さんが、アロマンティックという概念を獲得した時、自分のマイノリティの感情に名前があるって知った時、なにを感じたのだろう。
いつか恋はするもの、恋人はつくるもの、それが当たり前だと信じられている世界において、ひとりぼっちじゃないって感じてくれたかな。
自分はアロマンティックだって、定義したときに彼女の息苦しさが、ほんの少しでもほどけてくれてたらいいな。
この物語には、名づけられていないクィアの彼らがたくさん描かれて、わたしに語り掛けてくれる。
おんな2人で暮らすおんなのこ。男性ふたりに育てられたおとこのこ。母親に女性の恋人がいたことを母の死後に知ったおんなのこ。
名前を持たない彼らは誰の目にもうつらない。だけど、ここにいるんだよ。
世界のだれも彼らのことを見えてなくても、見ようとしなくてもここにちゃんといるんだよ。
そうやって彼らが声に出して、「わたし」と会話してくれること。それは、生きづらさを抱えたわたしを抱きしめてくれるような心地で。
爽やかな夏の風が吹き抜けるような、だいすきな漫画だった。
わたしも、あなたとおしゃべりがしたいって思ってた。
わたしみたいな世界でひとりぼっちと感じているあなたと。


