藤田知礼|Fujita Chiaki "サラバ!(下)" 2025年7月7日

サラバ!(下)
特別努力しなくてもある程度の愛や評価を当たり前に享受できることに甘えて斜に構えた子ども時代を送るとそのツケは後々必ずやってくるなー、なんてことを考えていた今日この頃。 『サラバ!』上下巻、2日かけて読了。 上巻の前半では、子どもながらに他者に気を遣い空気を読むという、自分と対極にある歩(私にも弟がいるけれど、今思えば貴子ほどの奇行を起こしてはいないものの、存在としては極めて貴子的だったと思う)と比べて自分を省み恥じ、後半では対極ゆえの曖昧さ(特に有島ちゃんとのくだり!)に腹を立て、下巻では年齢や社会的立場も含めだんだんと自分と重なる部分が増えてきて、共感したりまた離れたり…と、読み進めながら歩と自分が螺旋状に絡み合っていくような感覚になった。 それに加えて災害や事件、世界情勢などのノンフィクションの出来事が絡み合い、その描写の鮮やかさと熱量で息苦しくなり度々めげそうになった。 (話が逸れるけど、先日あさイチで西さんが椎名林檎さんについて語っているのをたまたま見て、とてもビビッドに言語化される方だな〜と印象に残っていた) 平たく言えば、結構しんどかった。 それでも最後まで読んでよかった。 生きてるうちに、自分の心と体をもって、もっと自分ごとを増やしていかなくちゃ。 私は必要や衝動に駆られるか切羽詰まらないと動けない、というかなり情けない性質の持ち主だけど、意志を持って行動して、実感して、そうやって得られる中からでないと、私の信じるべきものは見つからない、意味がない。なんてことを読み終えてしばらく考えた。 最後に至極個人的な感想になるけど、2年ほど前に教えてもらった今作をこのタイミングで読もうと行動したことにも何らかの縁を感じた。教えてくれた友達に感謝。
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