みうら "死んでいない者" 2025年7月8日

死んでいない者
第4章のとこがすごく好きだった、主体を明示されない体験と思考がこれもまた正体のはっきりしない語り手を通して紡がれるのって、それを読むのって不思議な体験だと思った 美之と知花の、年の離れた兄と妹の関係性のある種の美化みたいな表現に対する嫌悪感がものすごくて、でもこれは私のごく個人的な嫌悪感に過ぎない 親子関係やきょうだい関係を恋愛に例えることは、いくら作中で回収されていたとしてもやっぱり反射的に舌を出してしまういやさがある 本を読むことはときに私の輪郭を鮮明にしてくれるけど、まさにそういう本だと思った 人の話を聞くことで回りくどくも自分がわかるというか それはものいわぬ死者を介して、生きた人と人が、義理や縁起に結ばれた人間たちが触れ合うことで、自分の立ち位置や感情を確かめ合う、そういうことにも繋がるのかもしれない おもしろかったー
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