死んでいない者

28件の記録
- イナガキカズトシ@romantist7212025年8月17日読み終わった読んだ。語り手の言葉が時に登場人物の声のように、時には死者のように、時に全て俯瞰して見ている者のように移ろいながら心地よく進んでいく。葬式に関係する親族たちのそれぞれの動きが、それぞれの思考が、葬式という非日常の中でさまざまな過去の記憶が綴られていきながら進行する。ここに来られなかった人たちもここにいるように感じ、時には死者とも会話し、死者と死者のかつての会話も繰り広げられる。不思議なことが起こっているようで起こっていない。現実に起こっていることなんだけど、温泉入りながら空中浮遊してたり、不可思議な出来事も起こっていながら起こっていない。 はっちゃんが故人と敦賀へ旅行したことを思い出しながら、故人とやり取りするシーンが好きだ。昔はすぐ口論になった仲なのに、いつからか口論になるのを踏みとどまるようになっていた。互いに結婚して子供もできた時期に何故二人で旅行に行ったのか、何をしに浜辺に行ったのか、はっちゃんは思い出せないでいる。このことに対して、誰だか分からない語り手が本当にそこには理由などなかったのかも知れず、幽霊みたいに浜に腰を下ろして波の音を聞いていただけなのかもしれない。と喋ったあと、そうだったらいい。と一言で締める。この、そうだったらいいって感じてる奴誰やねんなんだけど、本当にこのそうだったらいいには共感しかなく、この誰のものかもわからない願望に惹かれるのはなんでなんだろうか。多分、故人とはっちゃんの若い頃の二人が、浜辺でただただ波の音を聞いてる光景に憧れてる?理由も経緯も意図も全て取り去った二人の時間を感じられる気がする。そうだったらいい。本当。
- obakenokuni@kk2025年8月9日読み終わった家族、親戚の間にあるふしぎなつながり、しかしつながりというには不確かすぎる、空気のようなもの。なければ成立しないけれど全く見えはしないもの。自分の家族や親戚との関係を思い出しながら、今まで言語化してこなかった感情をひとつぶずつ小さく起こすようにして読んだ。 登場人物が多くてめげそうになったが、ネットで探した家系図をプリントアウトして傍らに置いて読むことで、読み終えることができた。
- DN/HP@DN_HP2025年7月15日図書館で『新潮』2024年8月号に掲載された滝口悠生さんの『湯あたり』を読んだ。 温泉に浸かる。記憶と思索が漂い、死者が思い死者を思う。混じり合う記憶を抱きしめる。そんなシーンを読んで、少し泣きたいと思った。 それと同時に、この小説でも、死者を思い、死者が思い語り出す、そんなシーンがあったことも思い出した。 滝口さんがたまに繰り出してくる、そんな違和感となめらかさが同時にあるような、不思議だけれど納得してしまうような語りが大好きなんだ、と改めて思った。 掲載紙が登録されてないみたいだから、そんな気持ちをこちらに残しておきたい。
- annamsmonde@annamsmonde2025年7月11日読み終わった85歳で亡くなった、父であり祖父であり曽祖父であり、幼なじみでもある男性のお通夜に集まった人々の視点から代わる代わる語られる一夜の物語。 よく知っているような、全く知らないような、遠縁の雰囲気をまとった文章が不思議で魅力的。 寝ずの番をする非日常感や、一晩だけ切り離されたような時間の特別さが漂っていて、新鮮な読み心地でした。
- みうら@dadadadamiura2025年7月8日読み終わった第4章のとこがすごく好きだった、主体を明示されない体験と思考がこれもまた正体のはっきりしない語り手を通して紡がれるのって、それを読むのって不思議な体験だと思った 美之と知花の、年の離れた兄と妹の関係性のある種の美化みたいな表現に対する嫌悪感がものすごくて、でもこれは私のごく個人的な嫌悪感に過ぎない 親子関係やきょうだい関係を恋愛に例えることは、いくら作中で回収されていたとしてもやっぱり反射的に舌を出してしまういやさがある 本を読むことはときに私の輪郭を鮮明にしてくれるけど、まさにそういう本だと思った 人の話を聞くことで回りくどくも自分がわかるというか それはものいわぬ死者を介して、生きた人と人が、義理や縁起に結ばれた人間たちが触れ合うことで、自分の立ち位置や感情を確かめ合う、そういうことにも繋がるのかもしれない おもしろかったー
- yt@yt2025年3月18日読み終わった読んだことないふわふわした感覚で、とても面白く、心地よく読めた。 もういない人も、死んでいる人も出てきて、登場人物が多様。 でもみんな親戚で、家族的類似性ではつながっていて、不思議な親密感が全体を貫いているのがいい感じ。 お鈴のところなど、こう書きたいという意欲も伝わってきて、これもいい感じ。
- ひ@yakisake_book2025年3月6日読んでる読み終わった文体がとても好き。読んでいる最中は変な気分になるが、読むのを中断した後は何が変だったのかはっきりと思い出せないまま毎日少しずつ読み続けている。
- ぐっにゃい@goodnight2025年3月6日かつて読んだまた読みたい芥川賞受賞の時に楽しみに読んだ。 登場人物が多いので、いろんな人が家系図を書いたりして読んでるのが面白かった。私としては、登場人物を覚えられないままなんとなく読み進みるのがいいんじゃないかと思った。
- あかからきいろ@aka_kara_kiiro2025年3月1日読み終わった大往生を遂げた男の通夜に集まった子、孫、ひ孫たち30人あまりの一晩の物語。 絶対好きなやつ〜と思ったけど人多すぎて読むの時間かかった。 何の事件も起こらないし何か結論があるわけでもない。ただ故人や家族を想う夜。 さすがに未成年達が酒飲み過ぎじゃないか? そこだけ違和感。