綾鷹 "授乳 (講談社文庫)" 2025年7月9日

綾鷹
@ayataka
2025年7月9日
授乳 (講談社文庫)
・道徳の教科書でも、のけものにされた女の子はこうやってじいっと下を向いていた気がする。それが普通の対応なのかなとあたしは思ったのだった。 ・あたしの人生のすべての人間関係は、ホシオ一人によって完成された。完璧に、理想の形で、美しく。 ・こうやって細かいことを誤魔化しあうことが、幸福を維持する秘訣なのだろうと、そのときあたしは思った。 ・要二は誰かの欲望を嗅ぎ取ってそれを満たしてあげることでしか存在できないのに、要二に要二自身であることしか求めないなんて、ケンのそんな無邪気な残酷さが、あたしには目障りだった。 ・ここがとても不出来な理想郷だったと気付いていたが、今さらわかってもしがみつく以外にどうしようもないのだ。あたしはもう空想の世界の住人になってしまったから外には行かない。
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