
夜
@butiloveu
2025年11月22日
買った
読み終わった
キルケゴールを中心に「実存哲学」の系譜、そしてウィトゲンシュタインに与えた影響を説明する一冊。
友人からの薦めで読み始めたけれど、その思想に通底しているキリスト教的な前提をなかなか飲み込むことができず、読み切るまでに4ヶ月ほどかかってしまった。
「人間は、それがどれだけみすぼらしく思えるものであっても、あるがままの自分として生きれよいのであって、好き勝手にこしらえた理想像に振り回されて、与えられた自分の持ち場を離れるのは、実はとても罪深いことなのだ。「絶望は罪である」とはそのような意味だ。」
「キルケゴールの実存(この世界に生を享け、自らのあり方を自由に探し求めていく人間の姿)とはまさにそこに存在が現れる場にふさわしく、彼の実存の思想(実存の不安や絶望の考察)は存在の研究のための手がかりとなりうる」
「(実存主義とは)神との接続を断たれた不安と孤独と絶望の中で、主体的に、そして他者たちへの責任を担って、自己のあり方を自由に決断して作り上げていこうとする思想である」
実存哲学、実存主義の系譜を辿るなかでその「不安」については自分のなかに見出せる気がするけれど、やはりキリスト教的な前提は私のなかになく、それであれば私の「不安」は何なのか…ということについては引き続き考えるべきテーマだと思う。
ウィトゲンシュタインの思考の転換についても、非常に興味深かった。
「『ツルツル滑る氷』とは理想(論理/理論的概念)の比喩であり、その上に入り込むとは、そこに現実の言語の本質を見、そのようなものとしてそれを追究する知的態度のことであった。『ザラザラとした大地』とはそれと対照をなす、この多様で凹凸を持ちときに不明瞭な現実の言語の比喩であり、そこに戻れとはつまり、理想のうちに現実の本質を追求する態度を改め、どこまでもこの現実に立脚して言語を探求すべきということである。」
