
句読点
@books_qutoten
2025年7月20日

読み終わった
とても美しい本だった。
北国の大自然の中で生きるキタキツネたちの物語。
過酷な大自然の中で、時に人間による脅威とも立ち向かいながら懸命に命を繋ぐ野生の動物たち。
なんて厳しく、美しい生き様だろうと思う。
毎日が生きるか死ぬかの世界で、失われる時は本当にあっけなく一瞬だ。
人間はこの感覚を失って久しい。
もちろんそれは良いことであるし、今から大自然の中でこのキタキツネたちのように生きようといっても無理がある。
基本的には寿命を迎えるまで、死とは遠ざかって生きている。
死を遠ざけることで、当面の間は自分には関係がないこととして、日々を平穏に過ごすことができている。
しかし、本当は、死があるからこそ生もあるのであって、片方だけでは成り立たない。
常に生の背後には死があることを忘れずに行きたい。
死は恐ろしいものであると同時に、生をより鮮やかに引き立たせもするものだと思う。
そしてキタキツネたちの計らいのなさ、ただ生きるために、命を繋ぐためにやることをやるというシンプルな生き方。家族や仲間が非情な死を迎えても、それでも自分は生きていかねばならないことを受け入れて、生きていく強さ、美しさ。
人間が同じような生き方をすることはもはや不可能に近いが、そうした世界が自然の中にあることを想像しながら、人間も本来はそういう世界からやってきたことを思いながら生きていきたい。
