
堺屋皆人
@minahiton
2025年8月1日

死んだ木村を上演
金子玲介
読み終わった
2025年
ミステリ
死んだシリーズ3作目。設定、演出、台詞回し……まさに金子劇場!!
死んだシリーズは続きモノではないけど、死んだ〇〇が、生きている側に強い影響を残しているという共通点があるので、奇抜な設定と反対にシンプルな生と死が凝縮して描かれ、あっというまに読めるのに、毎作読後感が尾を引く。
いや、ホントに謎の読みやすさ。
クセが無い訳じゃない、むしろクセは強い文体(特にセリフに台詞をかぶせるのとか、数ページ跨ぎの台詞だけのやり取りなんかは紙面が文字でギチギチ)なのに、いつのまにか読み終えている。
テンポ? 疾走感? 肌に合うから? 理由はよくわからないのですが、毎度面白く読めています。
今回の設定も面白い。
大学の演劇研究会元メンバー4人に送られて来た脅迫めいたDM。
八年前に自殺した仲間の死の真相を探るため、自殺した場所に集まり、当時を可能な限り再現して〈上演〉する事で、4人はお互いや死んだ木村について深く知っていく……。
なので、途中、戯曲(脚本)のような演出がされていて、それも視覚的に面白い。
途中までは、映像化したら(役者は大変だろうけど)面白いだろうな〜と思っていたのですが、アノ仕掛けは無理ですねw ミステリ好きにはちょっと嬉しいサプライズ。
そして、中盤の地獄絵図を乗り越えての、フィナーレは、待ってました!の金子劇場。
死の真相は多分そうだろなぁとは思っていたけど(あまりにも序盤から色々散りばめられていたので)、だからこそ王道ストレートな展開で満足出来るというか。
こういう青春の残火みたいなノリが好きなんで、そこを変に外して来ないのが3冊目となると安心して読める。この作家さんの色というか、シリーズに求めるものでもあるので。
とにかく、今回も面白かったので、次回作も読んでみたい。
今メフィストで連載中の作品は死んだシリーズじゃないポイので、今までと違った色やテーマのものでも楽しみです。
