おがわ "BUTTER" 2025年8月4日

おがわ
@ogawa30umi73
2025年8月4日
BUTTER
BUTTER
柚木麻子
食べ物、特にバターがいかにも美味しそうに書いてあって食べたくもなるのだが、変わっていく主人公の描写と相まって、常に背筋がひんやりと薄寒い。怖い。この後死刑が待っているかのような晩餐。味わうことをせずにはいられないが、味わってしまえば最後、破滅が待っている。確かな確信がそこにあって怖い。
BUTTER
おがわ
@ogawa30umi73
「できるよ。私がそうしたいと思えばね」この里佳の言葉が深く臓腑に染み渡った。 ゾクゾク怖いのに読み進めることを止められず、何度も何度も人間というものの得体のなさを反芻させられて、一体どこに連れてかれるんだろう、と不安に思ったが、最後まで行き着くと、和食の最後のご飯と汁物で温まり、最後の水菓子でフッと満足感に力が抜けるような感覚がした。 BUTTERという濃厚なタイトルでも、さっぱりとした後味の読後感は作れるのだな。そこは作者のとんでもない力量ゆえなのだろうけど、すごかった。
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