
amy
@note_1581
2025年8月3日

この国の不寛容の果てに
向谷地生良,
岩永直子,
杉田俊介,
森川すいめい,
熊谷晋一郎,
神戸金史,
雨宮処凛
読み終わった
感想
先日は『相模原事件』の日だったので、そういえばちゃんとそれ関係の本を読んだことなかったなと思って読んだ
雨宮処凛氏が編集を務め、精神科医や相模原事件について取材を続けた記者、脳性麻痺当事者で障害者の当事者研究もしている熊谷晋一郎氏も含めた6名と対談した内容をまとめた本である
それぞれの角度からなぜ植松被告がああいった犯罪を犯したのか、そうまでさせたのは何が原因なのかをあらゆる方面から語っている
読んでわかるのは、やはり頑張っても報われないという無力感、この社会を生き抜くのはもはやサバイバルで、自分でどうにか生き抜くしかない。老いても、弱っても国は助けてくれないのだから全部自分でどうにかするしかないという空気感だということは雨宮氏をはじめ、他6名の対談者たちのなかにも共通認識があるということだった
なかでも腑に落ちたのは、いつか報われると信じて日々労働に励む人たちが、障害者やマイノリティは自分たちの並んでいる報われる順番の列に横入りをしている感覚になってしまっているということだ
終わりの見えない労働や少なすぎる見返り、生まれた時点で決まってしまう格差などがそれを助長させている。それゆえに弱者への攻撃意識、剥奪感などが生まれる
雨宮氏はこれを地盤沈下と呼んでおり、たしかに弱き者は自己責任だからどうなろうが自己責任という空気が蔓延する社会は足元がとても不安定でまさに地盤沈下していると言えると思う
当然のことながら植松被告がしたことは絶対に許されることではないし、障害者をふくめあらゆる差別に反対である
しかし犯罪に至った背景がこんなことがあったのではないか、と想像することもまた他者への想像である
そういった背景を知らないことには、今後社会がどのような方向に進もうと、また新たな植松被告が生まれるだけだと思う




