
麦
@mugibook
幼少期に母に捨てられた千鶴。元夫からは金をせびられ、暴力を受けるという悲惨な現状から物語は始まる。ひょんなことがきっかけで母と再会したが、彼女は認知症により、記憶を失い始めていた。物語の軸となっている責任と人生。そして人生は誰のもの?という問い。 終盤の怒涛の展開に度肝を抜かれました。弥一の襲撃とさりげなく描写されていたやかんでの反撃。母に背中を押され、トラウマを克服しSOSを出す場面。極め付けは「私の人生だ!」という千鶴の啖呵。母に責任を求め、人生を周りに委ねていたからこそ、このセリフには痺れました。