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@tabine_sora
2025年8月5日

ハックルベリー・フィンの冒険 下
マーク・トウェイン,
西田実
読み終わった
「いつもおらのことをおめえさんと言ってかわいがってくれて、思いつくかぎりの事をしてくれて、いつもじつに親切だった。最後におらは、筏の上に天然痘の病人がいると男たちにうそをついて、ジムを助けたときのことを思いだした。ジムはすごくありがたがって、おらのことをジムじいやにとっては世界でいちばんの味方だと言ったり、今ではおらがたった一人の味方だと言ったりした。その時おらはひょいとあたりを見まわすと、さっきの紙が目にはいった。
おらは追いつめられた。おらはその紙を取り上げて手に持った。からだがブルブルふるえだし
た。だって、右か左か、ここで最後の腹をきめなきゃなんねえことが、自分でもわかっていたからだ。おらは、息を止めるみたいにしてちょっと考えてから、心の中でこう言った。
「よし、こうなったら地獄へ落ちてやれ」ーーそしておらは、その紙を破いちまった。」
