
もん
@_mom_n
2025年8月13日

終わりなき不在
佐川恭一
読み終わった
心に残る一節
@ 図書館
『人間的教育』があまりにも良かったので、佐川さんのデビュー作も読んだ。作品全体が小説への愛に満ちているなあとしみじみ。
p.122
僕は、自分でも手に負えないことなのだが、自分自身に最も低い評価を下すと同時に、最も高い評価をも与えていた。自分のような悩みを抱えることは、高い知性の現れである、とも考えていたのである。周囲の、楽しそうに大学生活を送る人間たちは、高尚な悩みを抱える思考回路を持たぬ凡人であるように思われた。
p.163
人を信じるには、自分の価値をある程度認めることが必要となる。自分が彼女に本当のことを語らせるだけの能力と価値を持ち、またそれらを今後保ち続けていくことができると確信できた時、初めて人を信じることができる。無価値な自分には彼女を信じる資格すらない。
p.190
俺は生き抜いた人間の悩み苦しんだ足跡が見たい。それは俺が生きたいからだ。
