村崎
@mrskntk
2025年8月13日

太宰治賞2025
筑摩書房編集部
読み終わった
太宰治賞、好きな賞のひとつ。
決して派手ではない人々の生活を、奥行きを持って書かれている作品が多いと思う。
受賞作「フェイスウォッシュ・ネクロマンシー」(前田知子)
洗顔料と息子の唸り声が条件になって亡くなった祖母が幽霊となってあらわれる。話すこともなくそこにいる祖母や、どこか受け身でいる生活のもろもろ。
スンドゥブうどんの誤発注とか洗顔料をつかった思いもよらない降霊術、切実さとおかしみが大げさでない塩梅でずっと描かれていて不思議な映画を観てるみたいだった。読み終わってからタイトル見るとじわじわ〜と沁みてよい。フェイスウォッシュ・ネクロマンシー、本当にこのとおりのタイトルでふふふってなる。
候補作「地下世界の俄雨」(蒼生行)
好きだった〜〜〜〜〜キャバクラの送りの仕事をするクコ、推しキャバ嬢のモモカ。絶妙なバランスで成り立っていればいるほど、いま自分が置かれている状況や立場が揺らぐことは怖いし不安、その気持ちすごくわかる〜〜〜友だちになりたいという切実な気持ちがすごく強く伝わってきて終盤はかなり胸がぐっときていた。
蒼生行さん、昨年も本賞の最終候補に残っていて、そのときの「フォルムレス・ヒール」もすごく好きだったのですが、そこに生きている人たちのそのときの行動をそのまま描いているかんじが、とても好きです


