
socotsu
@shelf_soya
2025年8月18日

チャイナタウンの女武者
マキシーン・ホン・キングストン,
藤本和子
かつて読んだ
過去の自分の感想を転記する。ずっと復刊してほしいが、国立国会図書館デジタルコレクションの個人送信サービスで読むことはできる。
https://dl.ndl.go.jp/pid/12224018
---
中国系アメリカ人2世の娘である筆者が、1世の母や、母がかつて住んでいた国のルールとアメリカで生きのびるためのルールとの間で板挟みになっている自分の体験を生かしたと思しき物語は、単純にルーツのある国の古い因習を乗り越え今いる国に馴染むための物語にはなっていない。あわいで引き裂かれるのを堪えるように、両者の間を揺れながら、たとえばなかったことにされそうになる叔母のエピソードに思いを馳せ、物語として書き起こすといった手段によって、今いる場所に限らない、自分を尊重しないさまざまなものたちに復讐を試みている。
総領娘の話でもあり、「家」や「血族」にしばられている女の話でもあるのに、読み終えてみると、物語の中での父という存在の影が驚くほどに薄い。
マキシーン・ホン・キングストンは中国の古典作品、物語、民話、寓話等を引用、言及、借用に積極的な作家だそうなので、読んでいてここって?と思うところは知識がなくてもちょいちょいあるけど元ネタについてもっと知っていたらおもしろさがさらに多重になりそうだ。


