
comi_inu
@pandarabun
2025年3月7日

自分ひとりの部屋
ヴァージニア・ウルフ,
Virginia Woolf,
片山亜紀
かつて読んだ
オールタイムベスト
一人暮らしを始める際に、実家から持ってきたうちの一冊だ。実家にいるときは手に取る気にならなかった。文字通り「自分ひとりの部屋」を持ってはじめて開いた。ひとりの部屋でなぜだかこれを音読していた。声に出しながらこれは大事な本だと直感した。部屋のいちばん高いところに置こうかしらと思った。
この作品を読んで、暗がりの中、強い風に曝されながらも赤々と燃える松明の火を想像した。この世に生まれたすべての女、台所に立ち、縫い物をし、自分ひとりの部屋も与えられず誰かの所有物となって歴史に消えた女たちみんなに見えるように燃える松明だ。
「100年後の女性達が年収500ポンドと自分ひとりの部屋を得て、自由に創造する未来が来ますように」
「貧乏に苦しむことなく、誰の嘲笑や邪魔も受けず、望まない結婚や妊娠や暴力に脅かされずに過ごせますように」
「そんな未来を獲得した暁には、わたしたちもあの男たちと同じように、ワインと美しい食事を楽しみましょうね、絶対に」
ウルフが遠く暗い岸辺で掲げた松明の火が見えている限り、わたしたちが交わした約束は破られない。