
ユメ
@yumeticmode
2025年7月24日

パディントンとテレビ
マイケル・ボンド
読み終わった
感想
シリーズ第5作も大変愉快なお話だった。ブラウンさんの家にテレビがやってくることになり、設置作業の段階でパディントンは何重にも騒ぎを繰り広げる。そして、家族がテレビの存在に慣れてきた頃、今度は自らテレビのクイズ番組に出演してセンセーションを巻き起こすのだった。数学の問題に対し、「クマの理屈にはあうんです。」と頑固さを発揮するパディントンとアナウンサーの珍妙なやりとりに、何度笑ったことか。
また、公園で近衛連隊の演奏ステージを聴くことになったパディントンが、シューベルトの交響曲が「未完成」であることに腹を立てるくだりも好きだ。パディントンにはどうも思い込みの激しいところがあり、そしてその思い込みのまま突っ走るから、いつも大騒ぎになる。にもかかわらず最後は必ずうまく収まる不思議な力を持っているから、楽しく見守ることができるのだ。
話の本筋とはあまり関係ないのだが、パディントンが熟読していた婦人雑誌の料理特集号が気になって仕方ない。お菓子の作り方を紹介している「グリーンさんのご隠居さん」というおばあちゃんが、バタートフィーをこっそりつまみ食いしている写真が載っているらしいのだが、そんな面白い誌面があるだろうか。このおばあちゃんとパディントン、相性がよさそうな気がしてならない。いつか対面してくれないだろうかと夢想してしまった。


