
noko
@nokonoko
2025年8月24日

読み終わった
借りてきた
心に残る一節
私には祖母という保護者はいたが、家族はいなかった。勝手気ままに育ったため、身勝手で人の意見に耳を傾けない。自分の育った環境と全く違う加藤家の温かい空気に触れて、私はうらやましいと思うと同時に、多くのことを学びもした。妻は丁寧で礼儀正しかった。それはお互いを思いやる温かい家庭の中で育ってきたからにほかならない。加藤家の人びととつき合うなかで、礼儀や思いやり、そして誇り高く生きることの大切さを知った。
本来子どもは友達と自由に、自然と戯れながら遊ぶ中で、好奇心を育み、感性を磨き、挑戦する勇気や、責任感を養うものだ。今、子どもたちは親の敷いたレールの上を走ることに精一杯で、過保護に育てられている。自分で考えるという体験が絶対的に不足しており、緊張感も、判断力も、自立心もないまま成人し、社会を支える立場に立つことになる。
子どもの未来を想うのならばまず、子どもの時に思い切り「子ども」できる当たり前の権利を、奪われた放課後や空き地を取り戻してやるべきだ。
その上での勉強である。…これからの不確実な世の中を生き抜くために必要な力を養う、未来のかかった切実な「勉強」だ。…考えるべきは次の時代を切り拓く創造力、子どもたちがさまざまなモノや人と出会い、自分なりの価値観・生きていく覚悟を養える機会づくりだ。
「人間の心の成長にとって、最高の栄養は本である」
「ないならないなりに、やっていくしかない」…建築を通じて社会とつながる緊張感こそが、私の人生の充実だ。病気くらいで人生を諦めるわけにはいかない。
人生の幸せのために必要なのは知力でも腕力でもない、挫けない心の強さと、それをいつまでも保ち続ける持続力なのだと、私は思うのである。

