さとう "声めぐり" 2025年8月30日

さとう
さとう
@satoshio
2025年8月30日
声めぐり
声めぐり
齋藤陽道
『異なり記念日』を読んだからには、こちらも読まなければならないと思って借りてきた。 よく行く図書館でスタッフおすすめ本として並べてあり、そのスタッフがどの方か分からないけど、思わずその方に向けてgoodポーズしてしまった。 齋藤陽道さんのことばはじっくり染み込んできて、そして内側から解されていく感じがする。この本は陽道さんの「これまで」の本。「これから」は『異なり記念日』や『よっちぼっち』だったんだな。読めてよかった。ことばを受け取れてよかった。 ○生気のこもらない会話が積み重なるにつれ、孤独はつのり、ぼくの存在を透明にさせる。そんな透明な存在にとって、どんなものであれ「声が伝わってくる」ことは、自分という存在をつかまえたうえで放たれたものであり、ここにいることを肯定してくれるものだった。 ○彼らは決して強くはない。けれども、自分の悲しみや弱さをごまかさずに抱きしめながら、なお自分の足で立つことを選んだ人たちだった。弱さも悲しみも、みっともなさもその先にある喜びも、すべてわたし自身が決めるという決意を抱えてきた。 ○たとえ、どれほど表情や動作、つむがれることばが貧しく、違和感をもって感じられたとしても、その人の裡も同様に貧しいと言い切ることは、絶対にできない。貧しく見えるのは、貧しい器でしか測ることのできない自分のせいであるとし、語り得ないものを抱える存在ほどに豊穣を抱えている。
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