上地ケンジ "わたしを離さないで" 2025年8月29日

わたしを離さないで
わたしを離さないで
カズオ・イシグロ,
土屋政雄
衝撃的な作品だった。 今年1番の小説! 感想を書くのに時間がかかりました💦 感情がグチャグチャになる。 とりあえずコメントに書きました☺️
上地ケンジ
上地ケンジ
@kenji-kamiji
主人公の昔話から物語は始まります。幼少期の出来事、それはどこかの施設で生活していたと思われます。しかしそれが学校などではなく、養護施設でもない、刑務所?とも思ったがそうでもない、非現実的な内容の思い出話です。 しかも子供の頃からそこに暮らしているから、本当にここが何なのかは分からない。 ただ思い出を語るうちに徐々に明らかになる主人公の境遇が、切なく感じました。運命とは全く自分では選ぶ事ができない不条理なものだと思い知らされました。 死ぬ事が約束された世界で、全ての疑問が解決した時に、2人は何を思っていたんだろうと思う。絶望感なのか、開放感なのか、どちらにしても自分には計り知ることのできない感情であることは間違いない。その気持ちを知りたいとも思うけど、知らない人生の方がいいに決まってます。自分の人生は最初から決められていて、しかもそれが絶望で終わるのだから。 もしかしたら、自分たちも同じなのではないか?と考えてみた。生まれてから死ぬ事は決まっている事であるにもかかわらず、死ぬ事を現実として受け止めていない。この2人と比べて自分は幸せと言えるのか?この2人は不幸だったのか?自分はそうは思えない。この2人にも寄り添える仲間がいて、それが家族同然の存在であり、痛みを分け合いながらも幸せを感じていたのではないだろうか?それは自分たちと全く同じだと思う。死ぬことを受け入れている分、もしかしたら自分たちよりも幸せな人生を歩んでいけていたのではないだろうか?そんなふうに考えている自分もいる。 気掛かりなのが、最後に残されたキャシーだ。ルースとトミーはキャシーと寄り添えて幸せな最後だったと思う。しかしキャシーにはその相手がいない。自分は最後まで家族に看取られたいのか、最後まで看取りたいのか、どちらが納得できるのだろうか。 キャシーの最後はどんな気持ちだったのだろうか。
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