
ricochet
@ricochet
2025年8月31日

より大きな希望
イルゼ・アイヒンガー,
小林和貴子
読み終わった
第二次世界大戦下のウィーンを舞台に、半分だけユダヤ人の血をひく少女エレンを主人公として戦争を描いているのだが、作品中を流れている時間はまるで今流れているかのよう。一度きりの過去を何度でも今として立ち返らせ、作家自身、過去の子供たち、未来の子供たちを救うための物語。そうした物語を作り上げるために、どれ程のエネルギーが必要だっただろうと思う。ひとつひとつの言葉が複数の意味や謎を秘め、共鳴し、箍がはずれて世界がばらばらになりそうなエネルギーをはらんでいるけれど、ぎりぎり繋ぎとめられている。あるいは新しく繋ぎ直されているのか。


