
torajiro
@torajiro
2025年9月1日

自由思考
中村文則
読み終わった
硬軟織り交ざったエッセイと、新聞雑誌等に寄せてきたさまざまな政治・社会批評が集められたもの。中村文則はあとがきを書く方なので、各作品に込められた想いだったり、特に初期作品では著者自身の何かを濃厚に抽出していたりするので、本人の内面を含めて想像している部分がたくさんあったが、やはりエッセイという形はよりその人の色々な側面や感性を知ることができて面白い。若い頃に太宰、ドストエフスキーにガツンとやられたという点は私も同じなので共感するところも多かった。
文学とは何か、という問いに対する答えとして、
「そこに書かれた言葉の意味の全体で、その全体以上のものを表現しているのが文学」
という定義は、昔社会学を学んでいるときに「社会とは単に人が集まったというだけではなく、人の集合に何かがプラスアルファされているものであり、そのプラスアルファが何かを研究するのが社会学である(だから家族社会学、教育社会学、犯罪社会学など◯◯社会学とはプラスアルファを◯◯の視点から捉えようとするものといえる)」と説明していた先生がいてわかりやすくて印象に残っていたが、それと並ぶ簡潔さ。忘れなさそう。まだまだ未読作品多いので読んでいきたい。