noko "昭和の遺書" 2025年9月2日

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2025年9月2日
昭和の遺書
昭和の遺書
梯久美子
(特攻の父 大西瀧治郎) 知らせを聞いてやってきた知友・児玉誉士夫に、まだ命永らえていることを恥じるように「はじめて腹を切ったものだから…」と言ったという。 (聯合艦隊司令長官 山本五十六) おほろかに吾しは思はばかくばかり妹が夢のみ夜毎に見むや 万葉集にある「おほろかに吾し思はばかくばかり難き御門を退り出でめやも」をもとにした歌である。山本は万葉集をよく読んでいたようで、千代子は晩年、知人の医師にした思い出話のなかで「(山本は)万葉集の勉強をしていました」と語っている。山本もまた、辞世を遺して死んだ多くの昭和の日本人と同じく、伝統という器のなかに個人の思いを注ぎ込んだといえる。 (秩父宮雍仁) 殊に最後の十年は、我民族として国家として歴史上未曾有の難局と困苦の間にあつたが、この間を静かに療養の生活を送れたことは、幾多の同病の人が筆舌に尽くし得ない欠乏の中にこの世を去つていつたのに比し、あまりにも恵まれ過ぎてゐたと云ふの外ない。 何も我民族の為になることもせず、引いては世界人類の為にも役に立たなかつた此の体の最後を、少しでも意義あらしめる為に、勢津子さへ反対ー敢へて我慢ができるならばと云ひたいところだがーしないならば、 解剖に附してもらひ度い
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