ゆらゆら
@yuurayurari
2025年9月3日

木かげの家の小人たち
いぬいとみこ,
吉井忠
読み終わった
数年前に読んだのを、今回、読書会のために再読。冒頭の「ぼく」視点語りのプロローグ的な文章の存在をすっかり忘れてたけど、「だれにも行けない土地」の話は、抜き出しても名エッセイで良かった。
物語としても、単に戦時中のことを稀有な自由主義の両親のもとで育った少女のお話をベースに、英国ファンタジー×日本の土着の想像上の存在(アマネジャキ)も加えて描いたという試みを超えて、面白く読んだ。それは細部の豊かさと作家の読ませる技量なのかとひとまずは思った。
斎藤真理子さんの『本の栞にぶら下がる』の「いぬいとみこさんのこと」の章を合わせて読むと、この物語を1959年に書いたいぬいさんという人間のことをより意識することになり、本って一冊では完結しないんだなと思った。