舳野
@henomohe
2025年9月5日

とうもろこしの乙女、あるいは七つの悪夢 (河出文庫)
ジョイス・キャロル・オーツ
読んでる
表題作、空想のなりきりが高じて年下の女の子を生贄にするため監禁するのだが、ジュードのマリッサに対する嫉妬が苦しい。手入れされた美しい髪、母から愛されている子ども。事件をきっかけに姉と和解した母親に人をななめに見ていた容疑者にされた教師が彼女と心を通わせるなど、一応ハッピーエンドではあるがマリッサは二度と髪を伸ばすことはないだろう。
「わたしの名前は誰も知らない」「化石の兄弟」は自分の居場所をめぐり弟妹を憎む兄姉の話だ。愛が現され、そして後悔に彩られた最後にいびつな救いがある。



