
うゆ
@otameshi_830
2025年9月5日

メモリー
ルーシ・M.ボストン,
立花美乃里
読んでる
いいなあ…
ー学校に入学する前の日のことだった。黄金色に染まった空とそれを背景にくっきりと浮かびあかったポプラの木々を見つめながら、私は美しい夕暮れに包まれた伯母たちの庭園を、一人でさまよい歩いた。私のこの生活が、いま、永久に終わりを告げ二度とふたたび自由になることはないのだと思った。七歳だった。このときだったと思う、私のこころをもっとも強く感動させるものは風景なのだと気がつきはじめたのは。何年かあとになって、私は、風景が私の心のよりどころであり、生きる力の源であることを知った。
