にゃもたす "薬師に転生したのは、前世の「..." 2025年9月6日

薬師に転生したのは、前世の「推し」を助けるためでした 英雄だった聖騎士が私の奴隷になるなんて
火傷で半身が爛れ、右腕も失った元英雄の奴隷と、とっくに死んだと思われていた推しが奴隷になっとるやんけ〜!?と仰天する主人公ちゃんのお話。 正直、可哀想で不憫な奴隷落ちヒーロー大大大好きマンなのでとってもヘキが満たされる一作だった。別の方の作品『生き残り錬金術師は街で静かに暮らしたい』のえっちバージョンという感じ。好き。 (ネタバレ感想) レビュー欄に「もうひと押し欲しい」「スッキリしない」という声があったので、恐らくちょっとモヤつく展開があるのだろうと覚悟して読んだ。 どうやら先述のレビューを受けて、電子版から紙書籍として発行される際に改稿されたらしく思っていたよりは納得できる展開だった。まあ確かに、差別や誹謗中傷の嵐の中、主人公に直接謝罪した人間がほぼゼロなので(主人公も卑屈気味だし…)誰かひとりくらいちゃんと謝罪しに行くヤツがいた方がよかった気もする。もしくは天罰的な何かがあるとか。 個人的な希望を言うと。 十年ものあいだ辛く苦しい奴隷生活を強いられ、最後には特売品コーナーに展示されて叩き売りされるほど底辺でしんどい暮らしをしていたのだから、数としても貴重な上級薬師(主人公)に拾われて火傷を少しずつ治してもらったあたりで崇拝に近いほど依存してのめり込んで欲しかったなと思う。「俺の女神に難癖つける馬鹿どもなんて殺して回ってもいいんじゃね〜?」と暴れる狂犬になっちゃうような。 でもそんな闇を抱える事なく、自立心が強くて心根のしっかりした男だからこそ、自己卑下しがちな主人公を支えられるんだろうとも思う。よきヒーロー。 主人公を「色無し」と罵って差別しまくっていた故郷とは潔く縁切りして、セレンディアで新しい人生をスタートさせるのを期待していたけど、セレンディア国もたいがい性悪揃いだったのが残念。故郷でまた暮らすなら、せめて薬の価格がちゃんと修正された描写が欲しかったかな。そこは確かにモヤつきポイントかもしれない。 もーっと後日談が欲しい!と悶えちゃうけど、丸ごと書き下ろしの作品らしいのでWEB更新は望めないのも残念〜。その後の暮らしや周囲との関係、セレンディア国から今度はリンネル(熱血厄介おじさん)が突撃してくるとか、そういうの色々見たくなるくらいには面白かった。
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