ショートストップ "風の演劇" 2025年9月5日

風の演劇
風の演劇
内田洋一
「マンネリというと非難されるけどね、日本ではマンネリをつくる前に書くのをやめちゃうことが多い。僕は『象』ほどじゃないという批判を十年くらいやられたけれど、日本人は文学にしろ詩にしろ、処女作から青年期までは才能があるのに中年にかかるころマンネリだと集中的に非難される。日本の作家はだから中年が成熟しないんだ。晩年はまた枯れすすきで良くなるけれど、中年に大作が出ない。 僕はマンネリをおそれなかった。アトリエの仕事のなかで不条理劇と喜劇とを混ぜることに成功した。アトリエで仕事をはじめたころ、唐十郎と話したことがある。評論家が初期の作品に比べていまの作品をマンネリと非難するけれど、あれはないよなぁ、と。唐も同じことを考えていた。 作家にとっては、マンネリをくりかえすことで作品ができていく。それで電信柱を立て、ござを敷いて、という芝居を断固としてやろうと決意したんです」
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