"フェミニズムとレジリエンスの..." 2025年9月7日

蟹
@sorejamdesho
2025年9月7日
フェミニズムとレジリエンスの政治
フェミニズムとレジリエンスの政治
アンジェラ・マクロビー,
河野真太郎,
田中東子
和訳があんまりよくないせいか、読むの大変だったけど読了! > ネオリベラルな価値観において仕事は家族という価値観への依存よりも優先され、同時に経済的自立の可能性を女性たちに認めているように見えることから、進歩的な公共政策としてある程度フェミニズムのお墨付きを得ている し、 > 現代の一人前の女性は常に働き手でいることを要求されそのことが尊敬と市民権の明確なしるしとなる けど、 これは生活保護を受けている/何らかの理由で働けない(働いていない)人々を晒し上げ、反福祉主義を増長させるっていうのが割と目から鱗だった。福祉とフェミニズムについては全然知見が足りてなかったのでそこを補えたのはよかった。 女性の社会進出(労働への参加)を推し進めてきたことが、逆に格差のある女性同士の分断を煽る形になったり、レールを外れた瞬間に自己責任という言葉で片づけられることで、過度な自責に苛まれたり社会に助けを求めづらくしてるんだなとか。 働いていないと無価値と見做されたり(自分でそう思ってしまったり)、社会から承認されない、っていうのほんとにやめよ?ってなった。日々の実体験として感じていることについて、自分の思考の整理になる部分も多かった。 福祉や社会保障にアクセスしにくくしているという構造の問題も指摘していた。福祉は本来誰にでも開かれていなければならないけど、国家やメディアに操作された人々の眼差しによって「受けるに値する人」と「受けるに値しない人」を区別している。 マイナンバーを利用して縦割りになっていた情報を一本化し、社会保障や福祉が自動的に(これは理想ではあるが)行き渡るくらいはしてほしい。韓国では、個人識別番号とそれに紐づけられた情報をもとに政府が自動的に支援金を振り込んでくれるように仕組みを整備する動きが始まったようだが、日本もやれよカスが。 また、生活保護受給や就労支援を受けることが恥ずべきことという認識が育った背景について、この著者はカルチュアルスタディーズの専門家でもあるので、国家だけでなく、国家に密接した大衆メディアによる「晒し上げ」の影響もあると書いていた。イギリスでビフォーアフター的な番組が流行ったことを例に用いて説明があった。 働いていない/働けないシングルマザーの女性の身体的特徴(太っている、煙草と酒の摂取量が多い、だらしない服装など)を劇的に変えて「素晴らしい」容姿に生まれ変わったのを「善し」とすることで、ビフォーに該当する女性たちをシェイミングしていると。
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