もぐもぐ羊 "妊娠カレンダー" 2025年9月8日

妊娠カレンダー
「妊娠カレンダー」 あらすじを読んでゾクゾクしながら本を開いたけど、思ってたのと違った。 - - - - - - - - - - - - - - - - - - 【あらすじ】 出産を控えた姉に毒薬の染まったジャムを食べさせる妹…。妊娠をきっかけとした心理と生理のゆらぎを描く芥川賞受賞作 - - - - - - - - - - - - - - - - - - 主人公は積極的に毒を盛ったわけではなく、防カビ剤が添加されている可能性のあるアメリカ産のグレープフルーツでジャムを作ったら姉が気に入って毎日作っては姉に食べさせてた。 グレープフルーツはたまたまバイト先でもらったもの、グレープフルーツの防カビ剤については以前ゼミで知ったこと、姉が気に入ってからは身体に良くないかもしれないことを知りながら食べさせていたので(しかも妊娠中の姉に)悪意があったのかは正直よくわからない。 姉や姉の夫のキャラクターを見ていると、これから赤ん坊が生まれる夫婦に見えない。 特に姉からはいわゆる『母性』のようなものを感じられないけれど、別にそれはそういう人もいるよねと思った。 主人公である妹も姉のお腹に人間がいることに戸惑ってこそいるけど、新しい命に対して関心がなさそうで、それよりもつわりを終えて食事ができるようになった姉の見た目の変化の方に戸惑っていたように思う。 ずっと淡々と物語が進行していて、結局赤ん坊についての記述がほぼないまま終わった。 タイトルが「妊娠カレンダー」だから出産したら終わりだからかな〜と思った。 思ってたのと違ったけど、思ってたよりずっと気に入った。 「ドミトリイ」 これはとても好みなお話だった。 ホラーっぽくもありミステリーっぽくもある。 読み進めていくうちに不穏な考えがあれこれ浮かんできて、主人公と同様に頭が混乱した。 結局二人の大学生はどこにいるのかわからないままだったけど、不穏な想像は勘違いだったのは救い。 「夕暮れの給食室と雨のプール」 不思議な話だった。 給食室の描写がとても鮮明で楽しかったのだけど、それを語ってる人物は何者なのかわからない、謎の人物(宗教勧誘員では?と主人公は疑っていた) 謎の人物がきちんとした身なりをして子どもを連れていたことと主人公が犬を連れていたことで生まれた道端(ちょうど小学校の給食室が見える)での立ち話。 子どもが犬と遊んでいる間に大人が給食室について語らう。 大人二人だけだったらきっとこの会話をすることはなかったんだろうなと思った。
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