roiban "宇宙のアノマリーはどこまで判..." 2025年9月10日

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2025年9月10日
宇宙のアノマリーはどこまで判明したのか 標準モデルを揺るがす謎の現象
面白かった。物理学の最先端に関するポピュラーサイエンスとしては現代的で一線を画しているように感じる。著者は現役の研究者で、ボトムクォークの崩壊で生じるレプトンの比率を測定する実験に関わっていた(その顛末にも一章割かれている)。邦題にもある「アノマリー」とは既存の理論で説明できない実験結果。水星の近日点移動や異常磁気モーメントなど、アノマリーがこれまで理論の形成を牽引してきた事実を引きつつ、標準模型の腹立たしいまでの堅牢さや、その綻びを突き止めるための数々の実験について語られる。並外れた主張をするためには並外れた根拠が求められる。「ヒッグス粒子発見以後」かつ、たびたび触れられるコロナ禍の研究者コミュニティの雰囲気について、当事者にしかかけない生々しさと分かりやすさで書かれていた。ところでボトム(b)クォークをビューティークォークと呼ぶ派閥があるとは知らなかった。
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